消費税の還付を受けた後、2割特例を使用できるのか?

【例】今年から運送業を開業する個人事業主です。

令和×年10月から運送業を開業します。

年間売上は1,000万円以下の予定ですが、インボイスを発行できるよう登録事業者となるつもりです。

同年8月に開業に備えて事業用のトラックを880万円で購入していたので、消費税の還付を受けるために課税事業者選択届出書と併せてインボイス発行事業者の登録申請書を9月に提出しました。

この場合、トラックを購入した開業年に還付を受け、翌年以降に2割特例を適用する事はできますか?

目次

A.基本的には適用を受けることはできません。

課税事業者選択届出書を提出している状態で、税抜単価100万円以上のもの※(注)を購入し、消費税の還付を受けた場合、3年間は2割特例の適用には制限がかかり、受けることができません。

今、これを書いているのが令和6年4月です。

個人事業の場合は今年(令和6年)開業だった場合、令和6、7、8年…と制限がかかり、制限期間が終わる令和9年には2割特例自体が終わってしまっているので結局受ける事ができない。という事となります。

(仮に2割特例が延長した場合には制限期間の後は適用を受けられる可能性があります)

法人の場合の2割特例適用期間は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となるので、月末決算と仮定した場合はR6年8月までは最後の1期だけ受けられる可能性がこれを書いている現時点ではまだあります。

※(注)
伝える事を重視してざっくりとした表現としていますが、正確には消費税法上、「調整対象固定資産」というものに分類されるものとなります。
調整対象固定資産とは棚卸資産以外の資産で、税抜価格が1取引単位につき100万円以上のものを指します。

適用を受けられない理由

課税事業者選択届出書を提出し、開業年に課税事業者となり、トラック購入時に支払った90万の消費税について還付を受けたとします。(他の取引は度外視しています)

もし、この状態で課税事業者選択後すぐに免税事業者に戻すことが可能となってしまうと、意図的に還付制度のみを使ったイイトコ取りになってしまいます。

それを防ぐためにこのようなケースでは免税事業者に戻るための課税事業者選択不適用届出書の提出制限を掛けています。

(簡易課税の適用制限も掛かります)

この提出制限が掛かり、課税事業者であることが強制される期間については2割特例を受ける事が出来ないこととなっています。

まとめ

課税事業者選択届出書を提出した状態で、単価100万円以上のモノを購入して消費税の還付を受けた場合、3年間は計算方法に制限が掛かります。

ポイントは、

還付を受ける年だけではなく、制限が掛かる翌年以降もトータルで考えないと逆に損をする可能性がある

という点です。

この辺はなかなか自分でシミュレーションするのは難しいと思います。

設備投資をする場合は、会計上の減価償却なども関わってきますし、早めに税理士に相談した方が良いかと思います。

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