株式会社と合同会社、出資と経営の部分は大きく異なりますが共通点やあり税金計算方法等は変わりません。
合同会社がお勧めされる声を見かけることも多くなり、コストを掛けずに法人を設立したいという場合は合同会社も選択肢に入ってきます。
あのAmazonも合同会社ですよ。と聞くと安心してしまいそうですが合同会社にはデメリットも。
株式会社と合同会社の違い
借金や負債などの責任は出資額の範囲までとなる「有限責任」である点、税金計算方法などが共通点となる一方。
違いもあり、その違いがデメリットを生む場合もあります。
大きな違いは「出資者=役員」となるか、ならないかです。
株式会社の場合、実質的には「出資者=役員」となる場合も多いですが、本来は別の前提です。
株主(出資者)がいて、別に代表取締役などの役員を選任して…という事を前提としています。
一方、合同会社は「出資者=役員」を前提としています。
株式会社の場合、議決権は出資割合によりますが、合同会社の場合は割合関係無しに一人一票という点も異なります。
他にも役員の任期やコストに違いがあります。
設立コスト、ランニングコストの違い
コスト面では合同会社が有利です。
設立時は登録免許税と定款認証費用が異なります。
登録免許税(資本金の7/1000)の最低金額
- 株式会社150,000円
- 合同会社60,000円
定款認証費用
- 株式会社:30,000円~50,000円(認証が必要)
- 合同会社:認証不要
専門家に依頼した場合の費用などを含めて考えると
- 株式会社:約25万円~
- 合同会社:約10万円~
あくまで目安ですが設立時の費用はこのくらい違います。
また、株式会社は役員の任期(最長10年)があるため、登記のたびに数万円のコストがかかります。
合同会社はそれがありませんのでランニングコストでも違いが出てきます。
(税理士に依頼する場合に株式会社と合同会社で料金が変わるという事はあまり聞かないので少ないかと思います)
合同会社のデメリット
最近は合同会社の知名度が上がっているとはいえ、まだ株式会社に比べると低く、信頼性はやや劣ると言わざるを得ません。
取引先への印象、融資を受ける際の担当者の印象などを考えるとまだまだ株式会社の方が有利なのが現状です。
友人・知人と設立した場合は「割合関係無しの一人一票」という点が後々響く事も。
最悪、友人・知人の3人で設立し、後々1:2で孤立してしまうと実質決定権が無いようなものとなってしまいます。
死亡は退社扱いとなる点も知らなかった場合は後々怖いところです。
株式会社の場合は、配偶者や子供などの相続人が株(経営権)を引き継ぎます。
合同会社の場合は、相続人が出資した金額の払い戻し請求をするだけで、会社に関する権限は一切引き継ぎません。
一人会社の場合は解散となってしまいますし、友人・知人と設立した場合は相手のものとなってしまいます。
【対策】定款に相続人が持分を承継する旨を定めることによって、死亡した社員の持分を承継して相続人が社員として加入することができるようになります。
また、株式会社では配偶者が経営に参加しているという前提条件のもと、非常勤役員として役員報酬を年間130万円以下に設定し、扶養に入ったままにする事ができます。
一方、合同会社は非常勤役員という概念が無いため、役員は給与をもらった場合社会保険への加入が必須となる点も比較した際にはデメリットとなる場合もあります。
まとめ
SNS等ではインパクトのあるコスト面を重視して合同会社を推すシーンを見かけることが増えましたがデメリットもあります。
デメリットの部分が気にならなければコスト面で勝る合同会社も良いかもしれません。
ポイントは
合同会社を選択するなら、デメリットを把握した上で。
という点です。
一人で、BtoCのビジネスを行っていく場合などは合同会社も選択肢に入ってくるかもしれません。
規模を拡大したいと考えている場合は、多少のコストがかかっても信頼性や知名度がある株式会社をお勧めします。