電子取引データの保存にあたって
電子帳簿保存法のうち、電子取引データの保存は全事業者が対応を求められます。
その電子取引データの保存に際して色々とルールが定められており、いくつかの要件を満たす必要があります。
今回は、その保存をする際に満たすべき要件について解説します。
満たすべき要件は真実性の確保と可視性の確保
「真実性の確保」と「可視性の確保」、この2つの要件をクリアすることが求められます。
ただ「可視性の確保」は細分化した要件を複数満たすことが必要になりますので、状況により5~6つの要件を満たすことが原則となります。
真実性の確保とは、保存している電子取引データが改ざんされないように講じる一定の措置で、次の4つのいずれかの運用によらなければいけません。
①タイムスタンプが付された後の授受を行う。
②授受後遅滞なくタイムスタンプを付す。
③訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム
又は訂正削除ができないシステムを利用する。
④訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、それに沿った運用を行う
このいずれかの運用により、保存されたデータが改ざんされないようにする事がまず一つ目の要件となります。
可視性の確保とは保存されたデータを検索・表示できるように次の備えが必要となります。
①ディスプレイ・プリンター、操作説明書等の備付け
②電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
(自社開発のプログラムを使用する場合)
③以下の検索要件を確保する
・取引年月日、取引金額及び取引先について検索が可能
・日付または金額の範囲指定により検索が可能
・ニつ以上の項目を組み合わせた条件による検索が可能
①~③の要件を満たす事で可視性が確保されたと考えます。
実際、税務調査の時にモニターやプリンターの操作説明書なんか求められるかな?という気はします。
真実性を確保する
タイムスタンプを付す運用はシステムを導入するなどあまり現実的な方法ではありません。
実際の運用としては
③訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用する
④訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、それに沿った運用を行う
のいずれかによることとなると思います。
例えば弥生会計のスマート証憑管理というサービスは③の訂正削除の記録が残る又はできないシステムに該当しますので、DLしたものなどをそこに保存するようにすれば良いのか。
実はそういう事でもありません。
この場合、自分で電子取引データを入手してからそのシステムで保存するまでの間に「改ざんの余地」有り(無いでしょ笑)という事となってしまいます。
そこに対応するには結局④の事務処理規程を定める必要があります。
※取込専用アドレスを使用したり、同社のソフトでの連携機能など直で取り込まれれば③で真実性が確保される事となります。
AmazonなどのECサイトは通常、購入履歴をこちらで訂正削除ができませんので、③の訂正削除の記録が残る又はできないシステムに該当してくることになると考えられます。
可視性を確保する
原則3つの検索要件を満たす必要があります。(モニターや操作説明書の備え付けは割愛します)
真実性の確保で触れた、弥生会計のスマート証憑管理とAmazonを例にします。
弥生会計のスマート証憑管理は3つの検索要件を満たしています。
従ってDLした電子取引データを弥生会計のスマート証憑管理で保存する場合は、事務処理規程で真実性を確保、システム面で検索機能(可視性)を確保する事となります。
(取込専用アドレス等を使用して直で保存される場合は訂正削除の記録が残る又はできないシステムで真実性を確保します)
Amazonの場合は逆に検索要件を満たしていません。
但し、売上規模などにより検索要件が不要となるケースがありますので、その場合であればAmazonのサイト上に保存されていれば真実性が確保されているのでOKという事となります。
(基準期間の売上高が5,000万円以下の場合などは検索要件不要)
まとめ
電子取引データの保存ルールに関しては検索要件が不要になるケースや猶予措置もありますが、
まずは原則的な方法について解説しました。
ポイントは、
真実性と可視性の要件がそれぞれクリアされているかという視点で判断する
という点です。
検索要件が不要になるケースや猶予措置についても今後解説していきたいと思います。
編集後記
岐阜でも雪が降りました。
通勤が無くなったので、雪が降ったときは車に乗らないと決めてタイヤ交換をしていません。
そんな形で独立の恩恵を受けています(笑)