一人親方の申告で間違えやすいポイント「消費税(簡易課税)での事業区分」

消費税申告を行う際の計算方法の一つに簡易課税制度というものがあります。

経理や記帳の事務負担は軽減されるため、個人事業では簡易課税を選択するという方も多いです。
(インボイスによる2割特例を除く)

簡易課税の場合は事業区分の区分けが肝となりますが、建設業の一人親方は間違えやすいポイントもあります。

目次

消費税の簡易課税制度とは?

売上の消費税をベースとして、納付する消費税額を簡易的に計算できる制度です。

インボイス登録による2割特例を除くと、消費税申告を行う際の計算方法は「原則課税」と「簡易課税」の2つがあります。

原則課税は売上と支払について実際の金額を用いて計算するため、インボイスがスタートして「原則課税」はますます事務負担が大きくなっています。

計算結果や事務負担など総合的に判断していずか選択する事となりますが、個人事業主の場合は簡易課税を選択する事も多いです。

(簡易課税が使えるのは前々年度の売上が5,000万円以下の事業者に限られます)

簡易課税の計算方法

売上の消費税額―売上の消費税額✕みなし仕入率=納税額

のように計算します。

具体例として仮に売上が税込3,300万円(消費税300万円)でみなし仕入率が70%だった場合

300万円―300万円✕70%=90万円←納税額

となります。

業種で変わる みなし仕入れ率

上記計算方法のようにみなし仕入れ率が控除率でもありますので高ければ高いほど有利となりますが、このみなし仕入率は業種によって決められています。

第1種事業卸売業
第2種事業小売業
第3種事業建設業、製造業ほか
第4種事業1~3、5~6種以外の業種、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業
第5種事業サービス業など
第6種事業不動産業

このように分類され、建設業の一人親方は第3種事業と判断してしまうケースも多いようですが要注意です。

建設業であっても第4種事業の場合がある

いっけん建設業は第3種事業と思いますが「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」は除かれ、これに該当する場合は第4種事業となります。

例えば、主要な資材を元請が用意して作業を行うような手間請負で仕事をしている場合は第4種事業となります。

その他、解体やとびなども、基本的には役務の提供と考えられるため第4種事業となってきます。

一人親方の場合はこの形態が多いので基本的には第4種事業に該当してくることが多いと思います。

第3種事業に入ってくる建設業は主要な建材を自前で調達して建築したものを引き渡すような場合(=モノを作って引き渡す)をイメージして頂ければ良いかと思います。

第3種事業と第4種事業が違っていると何が起きる?

納税額の計算結果が変わってしまいます。

売上の消費税額―売上の消費税額✕みなし仕入率(ここが70%or60%となる)=納税額

となり、本来は第4種事業で60%なところ、第3種事業の70%で計算する事となるので税額が過小となってしまいます。

何年後かに数年分まとめて是正された場合は結構な金額になることも多いので要注意です。

まとめ

一人親方が間違えやすい簡易課税の業種区分について書いてみました。

ポイントは

「モノの引き渡し」なのか「役務の提供」で判断する

という点です。

主要な資材を自分で調達し、建てて引き渡す場合はモノの引き渡し。

元請けの現場に入って作業をするような手間請負は役務の提供となってきます。

何を提供しているか?で考えると分かりやすいかもしれません。
※役務の提供でもサービス業は5種となります

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