年の途中で出生、死亡した扶養親族や配偶者について定額減税は対象となるのか?
必要な手続はあるのか?
について、自分のケースに当てはめて考えやすいように税目別、異動事由別、発生タイミング別に分けてまとめてみました。
基本的な考え方
所得税については令和6年12月31日(令和6年中に死亡した場合には、その死亡の時)の現況による
住民税については令和5年12月31日(令和5年中に死亡した場合には、その死亡の時)の現況による
それぞれこのように考えますが、所得税と住民税は対象となる期間が1年ズレているため、出生の時期によっては住民税の定額減税が対象外となる場合もあります。
令和6年5月15日に扶養親族が死亡した場合
所得税については、年の中途で死亡してもその死亡の時の現況(このケースでは、亡くなった5月15日時点)で判断しますので対象となります。
住民税についても、令和5年12月31日時点では生存していたため対象となります。
具体例をイメージしてもらうために5月15日と設定していますが、令和6年中であれば同様の考え方となります。
令和6年5月15日に子供を出生した場合
所得税については、5月15日に生まれ、その後その年12月31日時点で判断しますので対象となります。
住民税については、令和5年12月31日時点では生まれていませんでしたので、残念ながら対象外となります。
こちらも5月15日を設定していますが、令和6年中であれば同様の考え方となります。
減税手続の対応は?
最初の月次減税事務までに提出された「扶養控除等申告書」で確認した情報によりますので、出産時期によって月次減税の計算に含まれるのか、月次減税には反映させずに年末調整等で調整するのか対応が異なります。
例えば7月に出産して子供が増えた場合はすでに月次減税事務が開始しているため、年末調整で清算することとなります。
以下、死亡のケースと、出産のケース(5/31以前、6/1以後)で整理してみます。
死亡の場合(所得税)
既に提出した「扶養控除等申告書」に亡くなった配偶者・扶養親族についてに記載しているはずです。
この場合は、そのままその方の分も適用を受ける状態で計算処理が進みますので定額減税の計算に関して会社側へのアクションは不要となります。
5/31以前に出産した場合(所得税)
提出済みの「扶養控除等申告書」には新しく生まれた子の情報は記載されていないはずです。
この場合は「扶養控除等申告書」を新たに出し直すor「※定額減税のための申告書」を提出する事で月次減税から反映してもらえるかと思います。
※正式には「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」といいます笑
6/1以後に出産した場合(所得税)
提出済みの「扶養控除等申告書」には新しく生まれた子の情報は記載されていないかつ月次減税がスタートしています。
この場合は月次減税では反映されませんので、年末調整で考慮して精算する事となります。
原則的には出産があった場合に「※定額減税のための申告書」を提出するなどして会社に出産により扶養親族が増えた旨を知らせる事になるかと思います。
※正式には「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」といいます笑
住民税
住民税は令和5年の状況で確定しているので令和6年の動きに影響を受けません。
令和6年中に死亡の場合はそのまま適用され、出産の場合は残念ながら対象外となりますので特に届出などのアクションは不要となります。
まとめ
原則的なポイントは
令和6年中の異動は定額減税対象。
手続は亡くなった場合は不要、出産の場合は書類を提出して会社に知らせる
という点です。(所得税は)
住民税は判定時期がR5年の現況で判定するため、令和6年に異動があったとしても影響を受けず、手続等も不要です。
原則的な取り扱いをまとめましたが、実務的には若干社内で違いがあるケースも十分あり得ます。
会社側にとっても初めての制度でスムーズに管理できているケースは少ないと思いますので異動があった場合は会社に伝えて提出物の指示を仰いだ方が安全だと思います。