税務調査の確率【個人】は約140人に1人!調査はどんな時に来る?

「本記事の内容」

個人事業主の税務調査に関する記事です。

  • 個人事業主が税務調査を受ける割合
  • 税務調査はどんな時に来るのか
  • 税務調査への対策

個人事業主でも税務調査は来ますか?

東盛

はい、残念ながら税務調査は法人だけでなく個人事業主にもあります。

どのくらいの確率で来るものなんでしょうか?

東盛

確率としては概ね0.7%
140人に1人くらいの割合となります。
※令和4年データを参照

思ったより低いんですね。
そんなに低かったら私は大丈夫そうですかね?

東盛

140人の中から無作為に選ぶ訳ではなく、選ばれる理由もあると考えられます。
今回はそちらについて解説します。

目次

税務調査の確率(個人事業主)

個人事業主に税務調査が来る確率は0.7%(約140人に1人)となっています。(※令和4年のデータ参照)

2024.7月現在では令和5年(2023年)の税務調査の実施データが無いため、令和4年データが最新となります。

国税庁が実地調査を実施した件数と、申告した人数を公開しています。
  • 令和4年度の実地調査(所得税の調査)の件数:4.6万件
  • 令和4年度に確定申告した人数:653.3万人

この数字を使って計算してみます。

4.6万件(実地調査件数)÷653.3万人(申告納税者数)✕100=0.7041…→【0.7%】
※数字は国税庁の資料より

個人事業主(フリーランスも含む)に税務調査が入る確率は約0.7%(140人に1人)という計算となります。

ただ、この数字はまだコロナの影響で例年より件数が少なかった事が予想されます。

令和5年以降はまた1%程度(100人に1人)くらいに戻るのではないでしょうか。

確率はあくまで目安。調査はどんな時に来る?

確率だけで見ると低く感じますが、調査は申告納税者数653.3万人の中から無作為に抽出されたものではないと考えられます。

なぜなら税務署の方々も忙しいので、当てずっぽうに調査に行って「何の成果も得られませんでした」では非効率すぎます。

何かありそう、もしくは何かあった場合は影響が大きそう、などあたりを付けてから調査に臨む事が考えられます。

税務署は様々な手段で情報を集めて調査先を選定しています。

実際に、調査がきっかけでご依頼を頂いて過去の申告書を見せてもらうと「なるほど…。」と思ってしまう部分があるのも事実です。

個人事業主に税務調査が来やすくなるポイントを一つずつご説明します。
(個人事業主を想定していますが、基本的な考え方は法人も一緒です)

そもそも確定申告をしていない(無申告)

まず無申告はバレます。

取引先の申告や調査などからも推測ができます。

2024年からは無申告に対するペナルティが厳しくなりました。近年はAIも発達してきているので以前よりも抽出されやすいのでは?と推測します。

当然ながら少しでも「ん?無申告では…」と思ったなら調査に来るのではないでしょうか。

消費税の免税事業者で900万円台の売上が続いてる

消費税の免税事業者かつ年間売上900万円台が続いている個人事業主(法人もですが)も税務調査の確率は上がります。

なぜなら、売上が1,000万円を超えた翌々年は消費税を納める必要があります。

それを避ける為に意図的に売上を過小に申告したのではないかと疑われます。仮に故意じゃなかったとしても、売上が過小に申告されていれば消費税の申告は…という問題に発展しやすいです。

そういう意味では税務署からすると効率が良いとも言えるので調査に選ばれやすくなります。

これは正しく申告していても実際に900万円台であれば致し方ないところがありますが、残念ながら確率が高まる事は心しておいた方が良いと思います。

規模的にも税理士に依頼するなどをお考えになっても良いのではないでしょうか。

売上や利益、経費などの数字が大きく変動している

売上や利益、経費などの数字が大きく変動した場合や、同業種と比べて経費や利益率などが大きく異なる場合も確率は上がります。

売上が増加すれば利益が増加する可能性は高くなりますので、利益を圧縮していないか…
売上が増えていないのに経費が大きく増えた場合は、何に使ったんだろう…(売上に結びついていないのに)
同業種と比べて著しく割合が違う場合は何か過大もしくは過小に計上されていないか…
(税務署は様々なデータを持っています)

など、様々な疑念を抱く元となり確率が上がります。

これも正しく申告していたとしても大きく成果が出た年、仕込みの年、様々あります。

通常は変わった動きがなければ数字も大きく動きませんので、例年と比べて大きく数字が変動した時は何か理由があると思います。

そんな時は申告する決算書に「本年中における特殊事情」を記入する欄がありますので、そちらに事情を記入する事をおすすめします。

利益が極端に少ない

極端に利益が少なすぎる年が続く場合も確率は上がります。

なぜなら、利益(所得)がないのにどうやって生活しているのだろう?という疑問に繋がるからです。

これは個人の生活費など経費ではないものを経費として計上している場合に起こることがあります。

本来生活費として残る分が経費として計上されているため、利益が少ない状態でも生活できる。

言い換えると、生活費を引いた後の金額が利益として計上されているので生活できている。ような状態です。

当然これはいけないことで、厳しいペナルティに繋がります。

もちろん正しく申告した結果であれば、問題ありません。

貸借対照表にマイナスの項目がある

貸借対照表にマイナスの項目がある場合も注意です。

通常、貸借対照表にマイナス項目はありません(元入金は除く)

「現金科目」がマイナスになっているケースは割と多いです。

青色申告で65万円の控除を受ける場合、貸借対照表を添付する事が要件となります。

一目で間違えている事が分かる貸借対照表が添付されている時に、この青色申告65万円控除を認めても良いものか…?

と思われてしまいます。

経験上、このケースは自分で記帳するのが難しい段階な事が多い印象です。

税理士に依頼する事をおすすめします。

顧問税理士がついていない

個人事業主の場合は顧問税理士に依頼していない事も多いと思いますが、税理士が関与しているか否かで確率は変わります。

税理士の私が言うのもなんですが、税理士は専門家ですので、専門家が関与した書類とそうでない書類。

どちらをチェックするか?となればやはり専門家が関与していない書類ではないでしょうか?

なお、申告書一式を見れば税理士が関与しているかどうかも分かります(名前が載るなど)

税理士ではない方に作成や補助を依頼(いわゆる偽税理士行為など)したとしても、申告書に名前が載ったりはしません。

いくら詳しい方だったとしても、専門家が関与していない書類扱いとなってしまいます。

現金商売や業種にもよる

税務調査が入りやすいかどうかは業種にもよります。

現金商売や、申告漏れの所得金額が高額な業種は要注意です。

現金商売は、記帳のミスが多く、取引の証拠が残らない(残さない)事もあり得ます。

通帳等を経由する場合に対してお金の流れが不明瞭になるため、税務調査が入りやすくなります。

また、国税庁は1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種のランキングを公開しています。

当然上位に挙がる業種に対する目は厳しくなるものと予想されます。

令和4年の1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種トップ3
  • 経営コンサルタント
  • くず金卸売業
  • ブリーダー

令和元年~令和2年くらいまでは風俗、キャバクラ・キャバレーがしばらく1位、2位を占めていましたが、令和2年~3年ぐらいから変わってきました。

コロナの影響が大きい事が予想されますね。

1件あたりの申告漏れ所得金額が高額な業種というデータが出ている(国税庁が出している)以上、見る目は厳しくなるはずです。

税務調査への対策はある?

税務調査が来ないようにすることを考えるよりも、税務調査があっても平気なようにするのが一番の対策だと思います。

税務調査があっても平気なように心がけることは、それがそのまま調査が入りにくくなる事に繋がります。

  • 正しく確定申告を行う
  • 顧問税理士と契約する

税務調査は正しく申告されているかというチェック→是正を行うものです。

正しく申告する事がそのまま調査の対象に選ばれにくくなることにつながりますし、仮に調査→是正となったとしても正しく行おうとした申告がベースとなるのでダメージも少なくなります。

そもそも自分では正しく申告をするのが難しいと感じる場合は、税理士に依頼を検討するのも有りです。

まとめ

確率として見ると、低いですがあくまで確率は目安であってランダムではありません。

調査調査に入られる理由は最終的には分かりませんが、大切なのは来られても平気なように正しい処理で正しく申告を行う事。

顧問税理士と契約して一定の信頼を担保しつつ、いざ調査の際には間に入ってもらえるようにしておくなど予め対策をしておくのが大切です。

税務調査が来やすい時期については過去の記事を参照ください。

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