Amazonや楽天などのECサイトで購入した場合の取り扱い
Amazonや楽天などのECサイトで購入した領収書は、電子帳簿保存法の対象となる電子取引データです。
電子取引についてはこちらの過去記事を参照下さい。
電子取引に該当するという事は、毎回取引の都度購入履歴から表示した領収証をスクショするなりダウンロードするなりの対応が必要になってくるんでしょうか?
結論としては検索要件が不要なケースに該当する場合は、ECサイト上での保管も可能です。(お勧めはしません)
今回はAmazonや楽天などのECサイトで購入した場合の電子帳簿保存法への対応について解説します。
保存する際に守らなければいけないルール
電子取引データを保存する際には、「真実性の確保・可視性の確保」この二つの要件満たす必要があります。
電子取引データ保存のルールについてはこちらの過去記事を参照下さい。
電子取引データは保存するにあたって真実性、可視性それぞれの要件を満たしているかどうか?という視点で判断が必要となります。
Amazonや楽天などのECサイトにおける真実性の確保
Amazonも楽天も他のECサイトも考え方は同じなので、Amazonを例にECサイトの購入はこれらをどのように満たしていくのか見ていきたいと思います。
Amazonは注文履歴で過去に購入したものを見る事ができ、その注文履歴は利用者側で削除したり訂正したり出来るものではありません。
よって訂正、削除が出来ない又は履歴が残るシステムを利用している=真実性が確保される事となりますのでまずは一つ目の要件はクリアです。
Amazonや楽天などのECサイトにおける可視性の確保
可視性の確保はモニターなどを備え付け、かつ検索要件を満たす事が求められます。
検索要件とは、電子取引データを検索するための要件です。
ここではモニターなどの備え付けについては割愛し、検索要件の部分に注目します。
検索要件
・取引年月日、取引金額及び取引先について検索が可能
・日付または金額の範囲指定により検索が可能
・ニつ以上の項目を組み合わせた条件による検索が可能
Amazonの注文履歴はワード検索や時期を絞る事はできますが、求められる検索要件は満たしていません。
ただし、以下のどちらかに当てはまる場合は検索要件は不要となります。
①基準期間の売上高が5,000万円以下
②電子取引データをプリントアウトした書面を、日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしている。
規模感としては年間売上5,000万円以下であれば①に該当してくると思いますので、該当する個人事業の方は多いと思います。
売上要件に該当しなくても②のようにプリントアウトして日付及び取引先ごとに整理して提出できる状態にしていれば検索要件は不要となります。
※真実性の確保やモニターなどの備え付けは必要
つまり、Amazonの注文履歴は検索要件を満たせませんが、①又は②に該当する場合はそもそも検索要件を満たさなくてもOKという事となります。
ECサイト上での保管は注意点も
システム上真実性が確保され、モニターなどの備付けをして、検索要件が不要な場合に該当すれば、AmazonなどのECサイト上でも良いという事にはなります。
ただし、保存期間である7年(最長10年)はECサイト上で領収書等データが随時確認可能な状態である必要があるというのが注意点です。
Amazonと楽天は現時点では10年以上前の履歴も確認可能なため、それについても満たしていると言えるのですが外部サイトですので、いつ何があるかは分かりませんし、何かあっても文句は言えません。
その他のECサイトではそもそもそんなに過去まで遡れないかもしれません。
その反面、もし私がECサイト運営者であれば電子帳簿保存法対応は推したいところです。
保存期間中の履歴が残るというのは今後ECサイトにおける一つのアピールポイントになるのではないかと思っています。
(容量やコストの問題があると思いますが)
ただ、税理士の視点としては手放しでお勧めはできません。
・領収書の保存期間が明記されていない(と思います)
・税務調査の際に、購入履歴という個人情報を見せたくない
からです。
まとめ
電子帳簿保存法における、Amazonや楽天などのECサイトで購入した場合の電子取引データの保存について解説しました。
ポイントは、
検索要件が不要なケースに該当すれば、サイト上での保管もOK(お勧めはしにくい)
という点です。
※Amazon・楽天のようなシステム(訂正削除ができないシステム)を前提としていますので全ECサイトが該当するとは言い切れません
どのように保存していくのか早めに方針を決めていくことが求められます。
当税理士事務所では、クラウドストレージ上に各顧問先様と共有の書類保管スペースを設けて提出&整理を同時に行い、少しでも煩わしさを削減し、かつ「電子取引データのダウンロードの求めがあった場合に、応じることができる」状態となるような取り組みをしています。
最終的に対応するのは事業者本人となってしまいますが、少しでも対応の負担が軽減できれば…と考えています。