小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象!パソコンは補助金で買えるのか?

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2025.12.01
小規模事業者持続化補助金は個人事業主も対象!パソコンは補助金で買えるのか?

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上を目指す個人事業主の皆様にとって、事業拡大の大きなチャンスです。

特にデジタル化が必須となった今、日々の業務でストレスとなっている古くなったパソコンについて、「この補助金で買い替えられたら」と考えるかもしれません。

しかし結論からお伝えすると、残念ながらパソコン本体の購入は原則として補助対象外とされています。

法人でも考え方は同様ですが、このブログでは個人事業主として話を進めていきます。

「やっぱり難しいのか…」とがっかりされたかもしれません。ですが、補助金はあくまで事業の成長を支えるための制度です。

この記事では個人事業主の方に焦点を当ててなぜパソコンが対象外なのかを明確に解説するとともに、別の補助金も含めた検討の方向性を解説します。

小規模事業者持続化補助金を個人事業主が利用する際に知っておくべき対象要件と制度の目的

小規模事業者持続化補助金は地域の雇用や産業を支える小規模事業者の持続的な発展を目的とした制度であり、個人事業主も正式な補助対象者として支援を受けられます。

この制度は単なる現金の給付ではなく、策定された経営計画に基づき、販路開拓や生産性向上の取り組みを行う事業者を支援するために設計されています。

資金調達が難しい小規模事業者が、未来に向けた挑戦をするための経費の一部を補助します。(と言っても、補助金が下りるのは後なので先出しする資金がなければ難しいという側面もありますが…)

個人事業主が補助対象となるか否かは、中小企業基本法に基づく業種ごとの常時使用する従業員の数で判断されます。

業種 常時使用する従業員の数の上限
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) 5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 20人以下
製造業その他 20人以下

士業(弁護士、税理士、行政書士等)や経営コンサルタントといった個人事業主も、上記の要件を満たせば対象者となり得ます。

補助率と補助上限額は通常枠で補助率2/3、補助上限額50万円です。

さらにインボイス特例や賃金引上げ特例の要件を満たせば、補助上限額が上乗せされる可能性があります。

ただしこれは助成金や給付金とは異なり、申請内容が審査され、評価の高い案件から順に採択者が決まる「補助金」であるため、事前の準備と計画の質が極めて重要です。

要件を満たす個人事業主であれば事業の成長につながる販路開拓の取り組みに対して、大きな支援を受けるチャンスがあります。

まずは事業規模を確認しましょう。

なぜパソコンはNG?個人事業主が知るべき「汎用性の壁」

業務に必須だと思われるパソコンやタブレット端末、プリンターといった周辺機器の購入費用は小規模事業者持続化補助金の補助対象外となります。

パソコンが補助対象外となる最も大きな理由は汎用性の高さです。

補助金は補助事業の遂行に必要なものと明確に特定できない経費は認められません。

パソコンは事業用の会計ソフトや申告業務に使えることはもちろん、情報収集や一般事務、さらに家庭でのプライベートな使用など、補助事業(販路開拓や生産性向上)の目的以外に多岐にわたる用途に利用できてしまうためです。

もちろんこれは個人事業主だけでなく法人も同様です。

またパソコン以外にも、以下のような汎用性の高い物品は補助対象外として例示されていますのでご注意ください。

  • PC関連機器: 事務用プリンター、複合機、タブレット端末、Webカメラ、ルーター、モニター、ヘッドセット、イヤホンなど。

  • 車両: 自動車、オートバイ、自転車、キッチンカー(車両本体)など。

小規模事業者持続化補助金を申請する際、計上された経費の大半がパソコンなど補助対象外の汎用品で占められていた場合、補助事業の円滑な実施が困難であるとして不採択・採択取消になるという公募要領の警告もあります。

 小規模事業者持続化補助金を最大限活用するIT投資戦略

パソコン本体は対象外でも、小規模事業者持続化補助金は事業の生産性向上や販路開拓に直結する仕組みへの投資を支援します。

補助金の目的は、事業者がデジタル技術を有効的に活用し、新たな価値を生み出す取組を支援することにあるため、ハードウェアではなく、そのハードウェアを活用して行うソフトウェアやシステムの導入は、販路開拓の目的に明確に結びつく経費として認められる余地があります。

個人事業主が小規模事業者持続化補助金を最大限活用できるIT関連の主な経費は「ウェブサイト関連費」でしょうか。

【ウェブサイト関連費の対象例】

  • 顧客管理を効率化する顧客管理システム(CRM)の構築。
  • 売上アップのためのECサイトの改修やウェブサイトの新規構築。
  • クラウド会計ソフトの導入費用など、毎月手間のかかる経理作業を自動化するための特定業務用ソフトウェア。

クラウド会計ソフトなど業務効率化に関する注意点

特にクラウド会計ソフトなどの業務効率化に繋がるソフトウェアの導入費用を補助対象とするためには、単に購入するだけでなく、申請書の「業務効率化(生産性向上)の取組内容」の欄に、その導入によって業務がどう改善されるのかを明確に記載し、販路開拓の取り組みとセットで申請する必要があります。

単なるソフトの購入ではなく、事業全体を改善する計画として位置づけることが不可欠です。

ただし、ウェブサイト関連費には「これのみによる申請はできない」「補助金総額の1/4(最大50万円)が上限」という制約があり、必ずチラシ作成などの他の販路開拓の取り組みとセットで申請する必要があります。

パソコンではなく、ECサイトの機能強化や顧客管理システムの導入など、事業の売上増や効率化に直結する具体的なIT投資に焦点を当ててみるのはいかがでしょうか。

個人事業主が次に検討すべき「IT導入補助金」

小規模事業者持続化補助金でパソコン購入ができなくても、IT導入補助金のインボイス枠(インボイス対応類型)を活用すれば、特定のソフトウェアとセットでパソコンを補助対象にできる可能性があります。

小規模事業者持続化補助金ではパソコンは汎用品のため対象外でしたが、IT導入補助金は、ITツールの導入を通じた生産性向上を目的としています。

この補助金の一部枠であるインボイス枠(インボイス対応類型)では、個人事業主もパソコンを補助対象に含めることが認められています。

ただし、いくつか重要な条件があります。

  • ソフトウェアとセットが必須: 単なるパソコンの買い替えではなく、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済といった機能を持つソフトウェアとセットで導入する必要があります。

  • 補助上限額の制約: パソコンの購入費用に対する補助上限額は10万円までと定められています(補助率は1/2以内)。

もし古くなったパソコンを新しくしたいというニーズと同時に、クラウド会計ソフトなどの導入も検討しているなら、IT導入補助金を視野に入れることは非常に賢い選択です。

補助金の名称や枠によって、パソコンの扱いが大きく変わるため、事業の目的と、どちらの補助金の条件が合うかを冷静に見極め、最適な申請先を選びましょう。

いずれにしても「パソコンを買うor買替える」という目的に対して補助金を利用するのは、本制度の趣旨から難しいと判断されます。

個人事業主が採択を掴むための必須手続き(GビズIDと様式4)

小規模事業者持続化補助金の申請は、電子申請に必要な「GビズIDプライム」の取得と、地域の商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」の取得が必須となります。

GビズIDは補助金申請を含む多様な行政サービスに共通でログインできる認証システムであり、このIDがないと電子申請システムを利用できません。

またこの補助事業は商工会・商工会議所の直接的な支援を受けながら進めることが前提となっているため、その証明となる様式4の提出が義務付けられています。

  • GビズIDプライムの取得:PCが苦手な事業者様も、申請を検討したらすぐに手続きを始めましょう。書類申請の場合は1週間程度かかる場合があります。

  • 事業支援計画書(様式4)の発行:商工会・商工会議所への発行依頼は、各公募回ごとに申請受付締切日より前に設定された受付締切日までに完了させる必要があります。
    通常、様式4の締切は申請締切の約10日前に設定されますので、余裕を持った準備が重要です。

小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上という、事業を成長させるための取り組みを支援する制度です。

ついつい、補助金を得ることが目的となってしまいがちですが、本来の目的に合致した場合に活用する。というのが上手な使い方な気がします。


【重要】この記事は小規模事業者持続化補助金の制度全般について解説しています。具体的な要件や各締切日は時期によって異なりますので、申請をご検討の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。

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