税務調査の確率は低いから安心?油断禁物!知っておきたい調査...
税のこと
トリミングサロンや動物関連の店舗で、お店に常駐している看板犬。
仕事の一部のような存在であり、お客様との距離を縮めたり、お店の雰囲気づくりに貢献していると感じている方も多いと思います。
では、この看板犬にかかる費用は経費として扱えるのでしょうか。
このテーマを考えるうえで大切なのは「可愛いかどうか」「役に立っているか」ではなく、経費とは何かという前提を正しく理解することです。
Contents
税務上の経費とは売上を得るために必要となった支出を指します。
多くの場合は【その支出がなければその売上は発生しなかった】と説明できる関係性が判断の軸になります。
この前提に照らして考えると看板犬にかかる費用は判断が簡単ではないことが分かります。
看板犬に関する支出が経費として扱われにくいのは
という点が問題になりやすいためです。
その結果、実務上は「経費として扱うのは難しい」という整理になるケースが多くなります。
ただしここで話が終わるわけではありません。
看板犬に関する支出でも
といった要素がそろってくると事業との関係を説明できる余地が出てきます。
重要なのは、雰囲気や感覚ではなく事業活動との合理的な関連性を説明できるかどうかです。
トリマーの方から多いのが自分の犬をカットモデルとして使ったり、ドッグショーに出展したりしているケースです。
感覚的には仕事の一部ですが税務上はそれだけでは足りません。
練習している、技術や知名度が上がった。
という位置づけでは事業との関係は弱いと考えられます。
一方で
といった事実が積み重なれば事業との関係を説明する材料になります。
ショー出展についても同様で評価や実績そのものではなく、それが来店や指名、売上につながっているかを後から説明できるかどうかがポイントになります。
そのために現実的にできることとしては
といった対応が考えられます。
大切なのは
POINT
これをやれば経費になる。ではなく、後から説明できる材料を残しておく
という考え方です。
仮に経費に該当するとして、すべてがその年の経費として一括で処理できるわけではありません。
支出の金額が一定以上になる場合にはその内容が経費であっても、一旦は資産として計上することが求められます。
資産として計上した場合には、その資産について定められた耐用年数に基づき、減価償却という形で、数年に分けて費用化していくという処理になります。
税務上、犬や猫などの生物は法定耐用年数「8年」と定められています。
(器具及び備品「10 生物」)
つまり仮に高額なショードッグなどを事業用資産として取得した場合には、その費用を8年かけて少しずつ経費にしていくという会計処理になるのです。
ここで、強い違和感を覚える方も少なくないと思います。
犬は、機械や設備のような「モノ」ではなく感情を持った生きた存在です。
それを8年という年数で区切り、少しずつ費用化していく――。
税務上は、愛犬であっても特別な扱いがされるわけではありません。
税務署の耐用年数表では犬や猫は、机や椅子・パソコンなどと同じ器具及び備品という分類に含まれています。
感情を持った存在であっても、税務の世界では他の事業用資産と同じ枠組みで整理されてしまうのです。
理屈としては理解できても、感覚的には割り切れない――。
この感情と税務のズレは多くの動物関連事業者が感じる、ごく自然なジレンマと言えるでしょう。
個人的な感情ですが私も大いに感じます。
看板犬の税務は、できるか・できないかを探す話ではありません。
どう整理すれば、無理がなく、後から説明に困らないか。
そこを考えることがトリマー・動物関連事業を長く続けていくうえで、とても大切なポイントになります。
岐阜市を拠点に、法人・個人事業主の経営を支援する税理士。
岐阜県内を中心に日々の経理や事務で悩む時間を減らし、 安心して本業に集中できる環境づくりをお手伝いしています。
単発のご依頼ではなく、継続的な顧問契約による伴走型支援を大切にしています。