意外と大きな落とし穴!売上の相殺計上は注意

消費税の申告を2割特例や簡易課税で行っている方は特に注意です。

売上の入金時に買掛金が相殺されて入金されます。

経理処理が手間なので、この入金額をそのまま売上として良いですか?

というケース。

例えば100,000円の売上に対して、材料費10,000円が相殺されて90,000円の入金があった場合

入金額である90,000円を売上としていませんか?

目次

A.原則は経費が相殺された金額を売上としてはいけません。(委託販売・振込手数料を除く)

買掛金が相殺された後の金額、いわゆる純額(相殺される前の金額を総額と言います)を売上とした場合、消費税で問題が生じる事となります。

※会計上も正しい規模が表示されないなどの問題がありますが今回は消費税に関する部分に触れます。

納税義務、ひいては2割課税の適用の有無

消費税額の計算

と与える影響が大きいです。

委託販売は例外的に委託販売手数料を控除した純額処理が認められ、受託販売は原則が委託販売手数料を控除した純額処理となります

同じ委託・受託販売でも食料品の場合は複数税率の関係で例外処理が認められなくなっています。

振込手数料も直接振込を受ける場合のみ売上値引とする事ができます。(結果的に相殺後の金額となる)

消費税の課税売上高が少なく計上され、納税義務の判定を誤る

基準期間における課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となりますが、課税売上高が少なく計上されている場合、このような消費税の納税義務の判定に影響を及ぼす可能性があります。

純額で1,000万円以下だと思っていたら総額で1,000万円超えていた。という事もあるかもしれません。

本来は売上総額1,200万円のところ買掛金300万円を相殺した900万円が売上計上されている…といった具合です。

総額で考えなければいけませんが、相殺後の純額を計上しているとその判定を誤ってしまいます。

最悪、1,000万円超えていないので消費税の納税義務は無い…と申告していなかったけれど税務調査が入って上記の理由で実は課税事業者に該当し、消費税が無申告状態となっていた。という事になりかねません。

インボイス登録した場合はどっちみち納税義務が発生しているから関係無い…事はありません。

納税義務の判定は間違えなかったとしても、課税売上高が1,000万円を超えた翌々年は2割特例が使えません。

課税売上高が違っていると、本来2割特例が使えないにも関わらず適用して税額を少なく計算してしまうという事も起こり得てしまうという二重の落とし穴です。

納税額が過小になってしまう。

2割特例も簡易課税も売上にかかる消費税額をベースに計算を行います。

所得の計算では売上1,000万円-経費300万円=900万円でも売上900万円でも利益900万に変わりありません。

売上の金額(消費税額)をベースに計算する方法では売上の金額が変われば当然結果が変わってしまいます。

売上1,000万円-経費300万円=利益900万円と売上900万円の利益900万では、計算のベースとなる売上が少なくなってしまっているので計算が過小となってしまう三重の落とし穴です。

まとめ

経理に慣れていないと、差し引き後の金額をそのまま計上してしまうことが多いですが要注意です。

ポイントは

買掛金が相殺されて入金されたとしても、売上は総額で計上する

ことです。

発生時に計上して、入金時に売掛金を消し込む…という流れにすると自然と総額計上されていきます。(そうしないと合わない)

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