個人事業主のお金がたまらない3つの原因と、残す対策

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2026.05.14
個人事業主のお金がたまらない3つの原因と、残す対策

「確定申告では黒字なのに、なぜか通帳にお金が残らない……」 そう感じている個人事業主やフリーランスの方は非常に多いです。

これは能力不足ではなく、お金の構造に原因があります。

今回はお金がたまらない3つの根本原因と、今日から変えられる対策をお伝えします。

個人事業主にお金がたまらないのはこの3つが原因が考えられます

お金がたまらない原因は「税金の後払い構造」「利益と現金の混同」「生活費を余った分だけ引き出す順番」の3つに集約される事が多いです。

売上や経費の管理だけに目が向きがちですが、それだけでは不十分です。

稼いだ後に手元に残らないのは、お金の流れの設計がずれているかもしれません。

たとえば利益が300万円出ていても、税金・保険料・生活費の引き出しが重なれば、事業に残る現金はほとんどなくなります。

問題は稼ぎが足りないのではなく、残る順番になっていないことにあります。

まずは構造を知ることが、お金をためるための第一歩です。

税金の後払い構造が手元の資金を奪っている

お金がたまらない原因の一つは自分のお金だと思っていた部分に、実は他人のお金が混ざっていることです。

税金などもここでは大胆に「他人のお金」と定義してみます。

将来確実に出ていく義務があるお金は、手元にあっても自分の自由になるお金ではない、という意味合いです。

会社員と異なり、個人事業主の税金は確定申告後にまとめて支払う仕組みが中心です(一定以上の所得があれば予定納税もありますが、それでも翌年の住民税・国保などは後払いです)。

翌年3月15日までの所得税や、消費税の課税事業者であれば3月31日までの消費税。(それぞれ振替納税の場合は4月)

さらに6月以降には住民税・事業税・国民健康保険料の請求が波のように押し寄せます。

売上が好調な年ほど翌年の支払額は跳ね上がりますが、その現金を確保せずに通帳にある分だけ使ってしまうと、納税時に資金がショートします。

例えば利益が多く出た年があったとします。この場合、税金や保険料も例年よりも多くなります。その分を意識せずに生活水準を上げてしまうと、翌年の夏頃には「利益はあるのに現金がない」という苦しい状況に陥ります。

対策はシンプルです。

売上が入った瞬間に一定割合を納税専用口座へ移すことをルール化してください。

余ったら納税に回すではなく、最初からなかったものとして扱う。

この順番の違いがお金が残るかどうかの分岐点です。

状況によりますが最終的な目安は利益の20〜30%を目指したいところです。

最初からその金額が難しければ、まず5%や10%からでも始めてみてはいかがでしょうか。

まずは「自分のお金と税金など(他人のお金)を物理的に分ける」という構造と習慣を作ることです。

固定費などのムダを見直しながら、少しずつ積立の割合を本来の水準に近づけていくのが現実的なステップです。

「利益」と「現金」を混同していると、黒字でもお金がなくなる

二つ目の原因は、「帳簿上の黒字」と「手元の現金」を同じものとして捉えてしまうことです。

このズレを理解していないと、利益は出ているのにお金がない状態が慢性化します。

会計上の利益はあくまで計算上の数字です。

実際の現金の動きには入金のタイムラグ経費にならない支出が存在します。

たとえば150万円で事業用の車両(新車の普通車)を購入した場合、その年に経費にできるのは耐用年数6年で按分した一部だけです(減価償却)。

年の途中で買えば、その年に経費化できるのは月割でさらに少なくなります。

一括払いの場合お金はすでに150万円出ていっているのに、帳簿上の経費は数十万円程度。利益は大きく見えたままで、現金だけが減っていく状態になります。

また、銀行への借入返済は元本部分が経費にならないため、通帳の数字だけが減っていきます。

請求書払いで仕事をしている方なら、3月に完了した仕事の入金が5月になることもあります。

入金のタイムラグだけでも、資金繰りは大きくずれます。

対策として、利益の数字だけで安心せず、「いつ、いくら入金され、いくら出ていくか」を優先して把握しましょう。

請求書を送ったらカレンダーに入金予定日をメモするだけでも、見通しは大きく変わります。

生活費を余った分だけ引き出す順番がお金を消耗させる

三つ目の原因は、生活費の管理です。

意外と見落とされがちですが、利益の中から自由に生活費を引き出す構造のままでは、お金はいつまでもたまりません。

個人事業主は事業用と個人用の財布が混ざりやすい構造です。

目の前に使えるお金があるとつい必要以上に使ってしまう、というのは人間の自然な心理です。

今月は調子がいいから多めに引き出そうという運用を続けていると、なかなか貯まっていきません。

一つの考え方として、自分に給与のように生活費を決まった額だけ引き出すという方法もあります。

事業口座から個人口座へ毎月決まった金額(たとえば30万円)だけを移し、それ以外には手をつけないというルールを設けるのです。

全員に合う方法ではないかもしれませんが、公私のお金を分ける意識を持つきっかけとして参考にしてみてください。

生活費を削る努力よりも、残る順番(構造)を設計することの方が、お金を残す道に繋がるかなと私は考えます。

生活費を先に固定して確保し、残ったお金を事業・貯蓄・納税に振り分ける——この順番に変えるだけで、資金繰りの感覚は大きく変わります。

まとめ:数字を知ることが、事業を守る第一歩

まずは現金の流れを可視化する習慣を意識してみてはいかがでしょうか。

今日からできる3つの行動は

①納税分を先に別口座へ移す

②入金予定日をカレンダーで管理する

③生活費を毎月一定額に固定する

です。この3つの構造を整えるだけで、資金繰りの不安は大幅に解消されます。


プロフィール(東盛 学/税理士)

岐阜市の動物好きな税理士。

法人・個人事業主どちらも対応し、規模にかかわらず一人ひとりと向き合うことを大切にしています。

顧問先のハッピーライフを会計・税務から支えます。

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