税務調査の確率は低いから安心?油断禁物!知っておきたい調査...
税のこと
生命保険を解約すると、まとまったお金が戻ってくることがあります。
実はこのお金、税金の申告が必要になることがあるうえに、「収入から差し引ける支出」と「差し引けない支出」があります。
実際にあった裁決事例をもとに、解説します。
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生命保険を解約して受け取るお金(解約返戻金)には、税金がかかることがあります。
区分としては「一時所得」にあたり、給料や事業の売上のように毎年繰り返し得られる収入とは違い、「たまたま一度だけ得たお金」として扱われます
(保険料を負担した本人が、解約返戻金を一括で受け取る場合が前提です。年金形式で分割して受け取る場合などは扱いが変わります)。
一時所得は、受け取った金額そのものではなく、そこから一定の支出を差し引いた残りに税金がかかる仕組みです。
さらに年間50万円の特別控除もあるため、必ず申告が必要になるとは限りません。
ただし、解約返戻金が大きい場合や、支払った保険料が少ない場合には、申告が必要になることがあります。
「保険を解約しただけなのに申告が必要」と気づかず、あとから指摘を受けるケースは実際にあります。
保険を貯蓄や資産形成の手段として使っている方は、解約時に税金がかかる可能性があることを、まず知っておく必要があります。
実際にあった裁決事例を見てみます。
このケースでは、長年かけていた生命保険(保険料の払込みはすでに完了)について、まとまった資金が必要になったため、解約ではなく「契約者貸付」という制度でお金を借りていました。
保険を解約せずに、積み立てた分を担保にお金を借りられる仕組みで、借りたお金の使い道に制限はありません。
このケースでは、借りたお金は投資に充てられていたようです。
その後、長期間返済しないまま保険を解約したところ、たまった利息が解約返戻金から差し引かれ、手元に残った金額は目減りしていました。
請求人(審査を申し立てた人)は「利息分も、収入を得るために支出した金額として差し引けるはずだ」と主張しましたが、国税不服審判所はこれを認めませんでした。
税法上、一時所得から差し引けるのは「その収入を得るために支出した金額」に限られます。
収入を生み出す行為(このケースでいえば保険料の支払い)そのものにかかったお金のことです。
一方、利息は「借りたお金を使わせてもらうこと」に対する対価であり、性質としてはお金を借りたコストです。
収入(解約返戻金)を得るために支払ったお金ではありません。
このケースでは、保険料の払込みはすでに終わったあとに契約者貸付けが申し込まれており、借りたお金が保険料の支払いに使われた事実もありません。
つまり、この利息は「収入を得るために支出した金額」という枠組みにそもそも当てはまらない、という結論になります。
この考え方は、実は馬券にも当てはまります。
競馬の払戻金も一時所得として扱われ、経費として差し引けるのは当たり馬券の購入費だけで、外れ馬券の購入費は原則として差し引けません。
「同じレースで馬券を買ったお金なのに」と感じるかもしれませんが、収入(払戻金)を生んだのは当たり馬券であって、外れ馬券は収入に結びついていないからです。
生命保険の利息も同じで、「関係がありそうな支出」であっても、実際に収入を生んだかどうかが基準になります。
この裁決の本質は、「同じ保険契約に関係する支払いだから」といった漠然とした関連性だけでは、収入から差し引ける支出として認められない、という一点に尽きます。
請求人は、契約者貸付けは保険契約に付随する制度であり、解約時に自動的に相殺される仕組みだったのだから、実質的に一体の支出だと主張したと考えます。
しかし審判所は、契約者貸付けの元利金はいつでも任意に返済できる、保険契約とは別個の債務であり、たまたま返済されないまま解約を迎えたために相殺されたにすぎないと判断しています。
つまり、解約返戻金を受け取るために支払ったものではない。という事です。
解約返戻金を受け取るための支払った保険料部分は申告時に差し引けます。
つまり「関連がありそうに見える」ことと、「収入を得るために直接必要だった支出」であることは、別物だということです。
保険を貯蓄・運用代わりに活用している方で、途中で契約者貸付けを利用している、あるいはこれから利用を検討している場合は、申告する際の利息の取り扱いに注意しましょう。
岐阜市の動物好きな税理士。
法人・個人事業主どちらも対応し、規模にかかわらず一人ひとりと向き合うことを大切にしています。
顧問先のハッピーライフを会計・税務から支えます。